国産の厳選した丸大豆と小麦を使用し、一切の添加物を拒み育てる醤油が丸中醤油です。
高度成長期の食品業界は、早く・安く・大量生産へと急激に変化し、同時に輸入作物のポストハーベストも問題になっておりました。そのような中、丸中醤油の先々代中居金次郎は、「口にできるものは安心できるものを」と、当時、まったく逆行した昔のままの製法・安心原料を信念といたしました。
その製法は古式製法として現在代表中居真和まで貫き通しております。
こだわりの素材・製法materials and method
丸中醤油は、現代では稀になった古式製法という自然の営みに任せた醤油づくりを今も尚続けております。三年熟成を基本とし、温度管理を一切せず、蔵人の五感と江戸時代より蔵に棲みつく醸造菌が育み、丸中醤油は生まれます。
春夏秋冬、四季折々の手入れをしながら丸中醤油の味を引き出します。醤油の命とも言われる香りは、時間をかけて低温でゆっくりと熟成させることによって良い香りが生まれます。
丸中醤油伝統の製法
塩吊り
日本でも他には見られない丸中醤油独自の製法の一つです。
丸中醤油では、塩水をつくる工程も、手間をかけて丁寧に行います。
まず桶に水を張り、麻袋に塩を入れて桶に吊り下げ、時間をかけて塩を溶かしていきます。約一週間かける塩吊り製法によって、梅雨時からの室温の温度が上がり湿度が上がる際に、微生物に最大限の力を発揮させます。
この製法は、創業以来守り続けている丸中醤油独自の方法であり、麹を宝として共に生きて来たからこそ続けられる製法です。継続することに、理由は要りませんでした。代々伝えられた製法を守り続けることが、丸中醤油の味を守ることだと信じています。
櫂入れ
人の手による技術と労力が必要な作業です。
蔵の職人は、櫂棒という木の棒で、もろみをそれぞれの樽の発酵段階に応じて慎重に動かします。これを「櫂入れ」と呼びます。
空気を送りこんだりガス抜きをしたりする技術のいる作業で、ちょうど良い状態で麹がもろみを発酵させるための手助けとなります。職人の役割は、発酵段階を容易に判断し、微生物が自然に動きやすい環境を作り出すことです。 この櫂入れの作業は、時には同じ桶で1日に2度も行うこともあります。職人は醤油を、まるで自分の子供ように慈しみながら育てるのです。
醤油造りが他の調味料と違って格段に手間がかかるのは、この櫂入れが不可欠だからです。同じ発酵食品でも味噌や酢造りの場合は、静置発酵で熟成させるのです。
舟絞り
丹念に一滴一滴を生み出す作業です。
「舟絞り」は、長い年月をかけた醤油醸造の最終工程となる、一番重要で、一瞬たりとも気を抜く事のできない特別な作業です。
原料には、麹と、職人が時間をかけて発酵させたもろみを使います。樽からもろみを出し、それを代々受け継がれてきた麻袋に入れ、少しずつ積み上げていきます。もろみが袋から破れて出ることのないよう注意を払い、袋の重みの力で自然に麻の袋から醤油が染み出し、滴るようにします。液体が滴らなくなった頃に、ある程度の重さの木片を重しとして載せていきます。そして、また自然に滴るのを待ちます。
ここまでに一週間ほどかかり、一番最後には手で圧力をかけて絞ります。この作業にも、当然時間や熟練が必要です。
効率という意味では、一般的な自動圧搾機械と比べられませんが、ここでの醤油の一滴一滴こそ、丸中醤油の歴年の努力の賜物ですので、醤油造りのすべてが愛おしく思える瞬間でもあります。もろみが絞り出されて醤油になる時、液体が空気に触れることで自然な味が引き出されます。